お地蔵さんの日 令和5年度


第1回 お地蔵さんの日 令和5年4月24日
瑞岩寺(群馬県太田市)岡田律雄宗師



第2回 お地蔵さんの日 令和4年5月24日
龍昌寺(群馬県安中市) 浅井聖道宗師

 今回は「パピーウォーカー」についてお話しします。パピーウォーカーとは、盲導犬になる前の子犬を盲導犬協会から1年間預かるボランティア活動です。お寺は留守にならないため、家族でパピーウォーカーを始めることにしました。預かる子犬はラブラドールレトリバーで、生後2か月から預かります。子供たちも大喜びで可愛がっています。しつけは英語で行い、基本的な言葉を教えます。
 これまでに3頭のパピーを育ててきました。最初は苦労もありましたが、慣れてくると外食や旅行など外の環境も楽しませるようになりました。一緒に過ごす1年間はあっという間で、協会に受け渡す時は家族みんなで悲しんで別れます。その後、パピーは盲導犬としての訓練を受けます。訓練の結果、盲導犬に向かない場合もありますが、介助犬や聴導犬、PR犬など他の役割に就くこともあります。
 私の場合、1頭目の子犬は盲導犬になり、2頭目は介助犬として活躍しました。3頭目は訓練に落ちて家族の一員として飼われています。盲導犬になる確率は全体の約3割で、日本では盲導犬の数が他国に比べて少ないため、パピーウォーカーのボランティアも少ない現状です。日本各地でボランティアに興味を持ってもらえることを願っています。
 私たちは「慈眼視衆生 福聚海無量」というお経の一句に触発され、パピーウォーカーを通じて他者を思いやる慈悲の心を持つことを願っています。育てたパピーたちが他者を思いやる気持ちを持ち、救いの手となることで幸せをもたらす功徳を広めていきたいと思っています。




第3回 お地蔵さんの日 令和5年6月24日
瑞巌寺(群馬県太田市)岡田律雄宗師



第4回 お地蔵さんの日 令和5年7月24日
雲龍寺(群馬県館林市)伊東俊道宗師

 こんにちは、私は伊東俊道と申します。群馬県の館林からやって参りました、雲龍寺の住職です。梅雨明けで関東地方も夏本番。暑さで多くの方が汗をかくことでしょう。どうかこまめな水分補給と熱中症への注意を怠らず、お過ごしください。
 本日は「お風呂の時間」についてお話しいたします。夏はシャワーだけの方もいますが、湯船につかることは熱中症予防に効果的です。暑さに体が適応しておらず、内部に熱がこもることが熱中症の要因。また、エアコンが効いた部屋で汗をかく機会が減少し、熱中症リスクが増加しています。浴槽に浸かって体を温め、汗をかく訓練をする事で体温調節機能を高めることができます。
 入浴は夏バテ対策にも一役買います。気温差が大きいと自律神経が乱れ、夏バテの原因になります。ぬるめのお湯に入ることで副交感神経が働き、リラックス効果が期待できます。

 仏教においては湯水での身体清浄を「沐浴」と称します。古代インドのヒンズー教で聖なる川での沐浴が罪を清めると信じられており、現代でも広く行われています。仏教でも沐浴は行われており、特に禅宗では三黙道場での修行に組み込まれています。ここには跋陀婆羅菩薩という仏が祀られ、修行僧が短いお経を唱えて礼拝し、入浴します。このお経を「開浴の偈」と呼びます。
「湯に入って身体を清らかにし、内外から輝くように」というお経の意味が込められています。湯水で身体を洗う時間を通じて、自己反省を行い、明日の行動に生かすことが提案されています。
「開浴の偈」にある「衆生とともに」という文言は、私たち全ての存在を指します。湯水で清めつつ、心と行動によって世界を良い方向へ導くことを誓い、共に輝く未来を願う祈りの言葉です。
 湯水で身を清めることは心の浄化にも繋がるかもしれません。入浴中に「開浴の偈」の意味を思い起こしながら身体を洗い、自己を見つめ直すことで、明日への活力を養っていただければ幸いです。皆さま、お聞きいただきありがとうございました。




第5回 お地蔵さんの日 令和5年8月24日
蓮城院(栃木県真岡市)荒木弘文宗師

 

 皆様こんにちは。本日は「お盆はありがとうキャンペーン」と題して、お盆についての法話をお話しいたします。

 お盆は、私たちの日本の伝統的な行事の一つであり、大切な行事の一つです。この時期、私たちは故郷に戻り、ご先祖様を供養し、感謝の気持ちを込めて過ごします。お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。この言葉はサンスクリット語に由来し、ウランボンとも呼ばれています。
 ウランボンの歴史は古く、仏教の教えに基づいています。仏教では先祖供養が非常に重要視されており、私たちの先祖が安らかに成仏し、幸せであることを願うものです。そして、お盆の期間は、ご先祖様がこの世に戻ってくるとされ、我々はそのお迎えをし、感謝の意を示すために様々な行事を行います。
 先祖供養の大切な点は、私たちが生かされていることへの感謝です。自分の親は2人、おじいちゃん・おばあちゃんは4人、3代前は8人、10代前は1024人、そして30代前まで遡れば10億人以上の先祖が、私たちが今日の日常生活を送るために繋がっています。私たちは、ご飯を食べるまでの間、ご縁の中にいることを忘れてはいけません。

 この「お盆はありがとうキャンペーン期間」、私たちは日常の忙しさから一歩退いて、少しだけ振り返り、感謝の気持ちを心に留める機会と捉えるべきです。この期間、我々は先祖に感謝し、家族との絆を深め、亡くなった方々への思いを新たにすることができます。
 そして、この感謝の気持ちを忘れずに、日常生活に持ち越すことが大切です。お盆が過ぎても、感謝の心を持ち続け、人々に優しさと思いやりを示すことが、私たちの伝統として受け継がれていくことでしょう。
 感謝の心を持って、皆様の幸せを願っております。ありがとうございました。


第6回 お地蔵さんの日 令和5年9月24日
瑞巌寺(群馬県太田市)岡田律雄宗師


第7回 お地蔵さんの日 令和5年10月24日
瑞巌寺(群馬県太田市)岡田律雄宗師


第8回 お地蔵さんの日 令和5年11月24日
高正寺(群馬県邑楽町)桒島正彦宗師

 みなさまこんにちは。私は群馬県の邑楽町高正寺の桒島と申します。
 実はわたしはお寺の生まれではありません。お茶の茶葉を販売するお店の息子として生まれ育ち、そのまま家業のお茶の仕事をしてまいりました。
 仕事の関係でお寺さんとのお付き合いはありましたけれど、特にお坊さんになる気があったわけではありません。たまたま同級生にお寺の住職がおりまして、ご縁があってその同級生の弟子になりました。出家をした後、曹洞宗の本山である永平寺にも修業に行かせていただきました。
 これもすべてはご縁のおかげ、と思います。今日も皆さんとここでこうしてお会いするのもまた、ご縁のおかげであります。
永平寺に修業に行かせていただいたのも、今日この時この場での出会いもすべてご縁ということで、この世の中も、私自身もこうしていろいろなご縁で成り立っているわけです。
 皆様も、日々いろいろなご縁に囲まれていると思います。是非、ひとつひとつのご縁を大切にして、毎日を過ごしていただければと思います。


第9回 お地蔵さんの日 令和5年12月25日
瑞巌寺(群馬県太田市)岡田律雄宗師

第10回 お地蔵さんの日 令和6年1月23日
玄頂寺(群馬県高崎市)志塚優翁宗師

 高崎市の玄頂寺で住職をやっております志塚と申します。私の祖父が住職で、そのあとを継いで10年ほどになります。
 私は、身体を動かすことが昔から好きで中学、高校、大学はバスケットボールをやっておりました。今は、自転車のレースを一生懸命やらせていただいております。例えばツールドフランスは、自転車何百台が1日200キロを1週間2週間走って順位を競うもので、そういうレースに参加しております。近場だと、赤城山や矢板市の八方ヶ原の大会に参加しております。
 そこで大事だと思ったことは、心と体は切っても切れないものであるということです。身心一如という言葉があります。心と体が一つという意味ですが、大事なのは先に体がきているということです。今の時代はSNSやインターネットで情報が手軽に手に入りますが、ストレスや不安を抱えたりします。その問題を解決するために心を整えることが大切ですけれど、なかなかうまくいかないのが現実です。例えば、レースに向けて表彰台に上がれるようトレーニングをします。ただ、気持ちだけが先回りして体がついてきません。そのため、先に練習に耐えられる体を作って練習を積み重ねます。そうすると自信がついたり心が鍛えられメンタルが安定すると思います。
 まずは、体を整えて心を整える。この順番がこの言葉の意味かなと思います。例えば、受け皿に水を溜めるとすると、その受け皿にひびが入っていたら水を溜めることはできません。まずは、器をしっかりと確認する。それは、体でも同じことだと思います。ゆっくりと自分と向き合ってから心を整えていく。そういったよう取り組めばストレスになりづらいのではないかというよう感じております。このような話しかできなく大変恐縮ではございますが、また機会があればお伺いしたいと思います。本日はありがとうございました。


 

第11回 お地蔵さんの日 令和6年2月26日
東渓院(栃木県佐野市)永澤竜也宗師

 

佐野の秋山町にお寺を預かっております。永澤と申します。本日皆さんとお経をあげさせていただいて、修行時代に言われた言葉を思い出しました。それは「お経は耳で読め」という言葉です。お経というのは沢山の方と一緒に読むと、ばらばらになってしまいます。そのようなときに、お隣の人のお経をしっかりと聴きましょうということです。この施設で毎日お経を読んでいる方もいると聞きました。そうすると、私は長くお経をあげているから私の声を聴いてと自分の我儘でお経を読むようになる時があると思います。すると隣の人とお経が合わなくなる。だから、まずは隣の人の声をよく聴くことです。その人は高い声なのか、低い声なのか。早く読むのか、ゆっくり読むのか。まずは、しっかりと聴いて、その中に自分の声を混ぜていく。そうすると自分のお経も分かってきます。私のお経ではなく、みんなのお経という気持ちを持ってほしいのです。皆さんの声が一つになると心も一つになっていきます。